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□御年賀
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武田の年越しは道場で迎える。最後まで立っていられた者に褒賞があるため、皆の熱気もますます高まった。
だが、これには主である信玄も参加するため、家臣にはほぼ望みがない。今年も次々と挑んでは倒れ、最後まで闘った幸村も信玄に吹っ飛ばされて、恒例行事は幕を下ろした。
「あーあ、やっぱりね〜」
後始末は早々に(わざと)リタイアしていた佐助の仕事である。まだ血が滾る信玄を酒へと逃がし、倒れた武将たちを部下に介抱させ、幸村を部屋に寝かせてようやくひと息ついたのは夜も深い時間であった。
ふと空を見上げ、佐助は雪に閉ざされた国に想いを馳せる。
彼の人は、今何をしているのだろうか。