Short◆SmW
□売約済
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「何がミーハーなの?」
「え?」
「さっき言ってたじゃん」
「ん? …ああ」
そういえば言ったっけと佐久間は笑う。
「そんな風には見えないけど」
「だからカッコつけてんの」
何たって憧れのキング・カズマ様だからねとまた嘯いて、佐久間は理由を教えてくれた。
「夏希先輩」
「夏希姉?」
「佳主馬くんは知らないかもしれないけどさ、アイドルなんだよ、先輩」
学校ナンバーワン、と人差し指を立てる。
「へえ〜。翔太兄だけじゃなかったんだ」
「オレも憧れてたよ」
あのときジャンケンで勝ってればなあ、いやそしたらOZは崩壊だそれどころか世界までと佐久間の妄想が広がるのを、佳主馬は一言で止めた。
「今は?」
憧れてた、というなら今は違うということだ。
「今もそりゃファンだよ。あの事件のお陰で話できるようになったし」
得したなあと、終わったからこそ言える呑気さで続ける。
「でも、もういるから」
ほらね、と待ち合わせ場所に並ぶ二つの人影を差す。
まだこちらに気付かないのか、楽しそうに夏希が話す相手は。
「…そうだね」
自分では気づかずトーンの落ちた声音に、佐久間はつと眉を寄せた。
「そ。いるから」
佐久間はそれに気づかぬフリをして、ようやくこちらに気づいた「婚約者」に手を振った。
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佐久間は意外と(?)聡い気がするな〜。
佐久間はまだ単なるキング・カズマファン兼お兄ちゃんです。先は長いよ。
しかし「売約済」って古典的表現だよなー。ホントは英語タイトルで続けたかったですが諦めました。無理。