Short◆SmW
□一人称
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「佳主馬くん《ボク》って言うんだ」
「……へ?」
「自分のこと」
健二や夏希先輩と直に会ってるときにさ、そう言ってたから。
オレには「オレ」って言うのにな、と指摘された佳主馬は目を円くして――続いて真っ赤になって俯いてしまった。
「だって夏希姉ちゃんは夏希姉ちゃんだし」
「健二とは?」
「なっ…!」
勢い込んで見上げると、にこりと笑う佐久間と目が合った。
慌てて顔を逸らし、言い返す。
「だって会ったの、あの家だったし」
親類が集まる家。その、自分だけの、部屋。
そこに彼は、踏み込んできた。親類には効いていた「結界」――実際は「効いたフリをしてくれていたと今ならわかる――も、彼には効かなかった。
「…ま、キング・カズマは《オレ》っていうカンジだしね」
いいんじゃない? イメージ戦略ってヤツとしては。
「…ありがと」
からかうでもなく、認めてくれるのが少しくすぐったくて、佳主馬は歩くスピードを早めた。
「…どういたしまして」
背中に投げた言葉に、佳主馬の頭がぴょこんと下がった。
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佐久間がそれを寂しいと思うかはご想像にお任せで(爆)。
小説で佳主馬の一人称がイロイロ変わってたので気になって書きました…。気を許してる人にはまだ「ボク」なのかねちゅーがくせー。