Short◆Brst

□やり直し
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夕暮れの中、美鶴は家路を急いでいた。いつものように近道をしようと公園に入る。
「ミツル!」
耳にするはずのない声に驚いて、美鶴は振り返った。自転車を放り出して駆けてくる人影。逆光で顔はよく見えないが、声が泣いていた。
影が美鶴の手首を捕らえる。
「…やっと見つけた…」
「三谷…どうして…」
「宮原。あとカッちゃんがお店のお客さんに聞いてくれた」
そこまでして自分を探してくれていたことに、美鶴のほうが泣きそうになった。けれど、そんな気持ちはおくびにも出さない。代わりに出たのは怒ったような声だった。
「……何でだよ」
「え?」
「何で俺なんか探すんだよ。もう転校したんだから関係…」
「あるよ」
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