Short◆Brst

□Next Millennium
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千年の時が過ぎた。もうすぐ人柱しての役割を終える。そして次の「人柱」が誕生するのだ。幻界から一人。そして、旅人から一人。
ミツルは幻界にやってきた一人の旅人を見て、息を呑んだ。
「ワタル…!?」
頼りなげに、でも目を輝かせて前に進む少年の姿。遠い、遠い昔に自分とほんの少しだけ交差した存在と面影が重なって、ミツルは目をそばめた。
どうして「また」彼が来ている? 今度はどんな絶望を抱えてしまった? そして何よりもう一人の旅人は? まさか、自分――?
落ち着け。あれがワタルのはずはないし、自分はここにいる。そう言い聞かせても、不安は止めどなく押し寄せる。人柱としての長すぎる静寂は、心に小波すらも立てることを止めさせていたのに。
ミツルは旅人から目を背けた。
もう一人を探すことは、怖くてできなかった。





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すみません続きます。まあ、ここで終わっても問題ないけど。

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