Short◆Brst

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「ぶかぶか…だね」
「お互いな」
顔を見合わせて苦笑する。 それはもう、三年も前のこと。今は――。

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小学校を卒業した春休み、中学の制服を作った亘は美鶴に電話した。
「ねえねえ、制服見せ合いっこしようよ。もう作ったでしょ?」
「何で」
「だって、中学入ったらまた落ち着くまで一緒に遊べないじゃない。それに遊ぶときも制服じゃないでしょ? だから今のウチに」
亘と美鶴は、別々の中学校へと進むことが決まっていた。本当は一緒の中学へ行きたかったが、美鶴は隣県に引っ越しており、当然ながら学区が違うのだ。
「…イヤだ」
「何でっ」
「イヤなもんはイヤだーっ!」
叫び声の余韻もなく、会話は断ち切られた。慌ててかけ直すが、携帯の電源まで切ったらしい。
「しょうがないなぁ」
亘は身仕度をして制服を入れた袋を抱え、家を出た。向かう先は決まっている。
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