Short◆Brst
□ためいきのもと
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「――――――はぁ」
「どうしたんだろうね? お兄ちゃん」
「うん、変だよね」
宮原家の長男は、最近様子がおかしい。
もちろん、いつも優しくて、時々怖くて、大好きな兄に変わりはない。
ただ最近、たまに、ぼうっとして、そしてそっと、辛そうに息を吐いていることがあるのだ。
小さい弟妹たちは、それが「ため息」と呼ばれるものだとは知らない。
「なんかぐったり?」
「がっかり?」
「…ぼくたちがわるい子だから?」
彼らにとっては、兄がそんなしぐさをするときは、決まって自分たちのいたずらやケンカを叱った後なのだ。
「でもさいきんはケンカしてないよ」
「じゃあがっこう?」
「…そっか。がっこうでケンカしてるんだ」
「だれと?」
「だれだろ?」
元より、二人に兄の交友関係など分かるはずもない。知っているのは――。
「わたるかかっちゃんだ」
二人に話を聞こう。宮原家の次男と長女は決意した。