Short◆Brst

□Last Millennium
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運命の塔を昇ることができるのは一人だけ――その筈なのに、塔には二つの人影があった。現世でも友達であった二人は、一緒に旅を続けてきたのだ。
彼らは当然別々の目的を持ってこの世界にやってきていたが、今は共通する一つの願いを胸に抱いて立っている。
「あなた方の願いを叶えましょう。但し、本来はここにいられるのは一人だけ。願いも一つだけしか叶えられません」
「分かっています、女神様。僕たちの願いは――」

ハルネラを止めてください。人柱なしに光の帯を作る方法をください。

二人の旅人は女神を仰ぎ見て言った。
「それは――冥王との盟約だということは知っていますね」
「はい、旅の途中で星読みの人に聞きました。だからこそ、お願いしたいのです」
「あなた方は本来別の願いを持っていたはず。その願いを叶えてしまったら、あなた方の運命は決して変わらないのですよ」
「分かっています。けれど、僕たちはここまでの旅でたくさんのことを学びました。いいことも悪いこともたくさんありました。でも、どんな時にも友達が…仲間がいてくれたからここまでこられたのです」
そう言って、二人の旅人は顔を見合わせた。
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