Short◆Brst

□Eternity with reason.
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永遠なんて有り得ない――美鶴が言う。

永遠はあるよ――亘が応える。

一生一緒だとか、この想いは永遠だとか、何で見えもしない先のことを軽々しく言い切れるのか分からないと、美鶴はうんざりしたように毒づいている。

「あ、それは僕も賛成」
「言ってることが違うじゃねーかっ」
「そんなことないよ」
だってさ――と、内緒話をするように耳打ちする。掠める吐息がくすぐったい。

「僕らは実体験したじゃない」

無邪気にも聞こえるその言葉は、美鶴からすべての動きを奪い去った。

思い出すのは、過ちと悔恨と、永遠にも似た光の呪縛。そして、長い囚われの時から救い出してくれた目の前の少年。
千年を超えてなお、自分の手をとった。

「ごめんね…思い出させちゃった?」
「ああ…でも」

確かにあったな、永遠が。
もう別の人間として歩んでいたものを、わざわざ自分のために異界の扉を開けたのだ。
これを永遠と言わずして、何と言おう。

「ずっと一緒だって、僕だけはミツルに言っていいでしょ?」

泣きそうな顔で笑いながら、亘は美鶴を抱き寄せる――そっと、そっと。


答えの代わりに、美鶴は亘の背中に手を回した。



≪理由がある永遠≫





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一瞬亘が黒くなったかとビクビクしました。
ウチのワタルは黒くはなれまい…。余所様のカッコイイ黒ワタル見るのや読むのは大好きです。

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