Short◆S-H
□光を失いてなお
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「高虎様、大丈夫?」
「心配すんな。住み慣れた屋敷だ、造作もない」
「そうじゃなくて」
寂しくない?
「…大丈夫だよ、たま」
見えないはずなのに、たまきに向かって柔らかく笑う。こんな表情をするようになったのは、彼の人がいたからだ。
「もう見るべきものはすべて見ちまった」
乱世も、泰平も、人の心も――そして、彼の人のすべても。
「あとはゆるりと朽ちていくさ」
傍らに、光を見た気がした。
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どうでもいいネタですが、虎の「見るべきものは…」の台詞は『平家物語』をもとにしてます。
まあ虎は自害しないよ。うん。
たまきは誰かの嫁になって幸せになってるといいなあ。
でもコレ書いてるとき、何故かたまは落飾しているイメージだった。何故だ。三成の嫁だったのか?
いつの間にか虎も「たま」と呼んでるといい。