限りなく黒い白一章第五部 〜降臨と別れ〜
[黒]
・・・雨止んでるね。
[しらひめ]
そうだね・・・。
あっ!?
傘忘れた!!
[黒]
良いよ・・・。
[しらひめ]
えっ?
[黒]
もうイラナイ・・・よな?
[しらひめ]
・・・・・・うん。
僕は無理やり彼女の手を取った・・・
行き先も決めてないのに・・・
でも・・・彼女が無理やり手を取った僕を受け入れてくれたような気がした・・・
そんな淡い幻想と期待に、想いを寄せていた・・・
そして、歩きながら探す・・・
何処を・・・
深夜・・・辺りはオフィス街、人気もなく、ゆっくり出来そうな場所が無い・・・
目に着くのは・・・
[ホテル]か・・・
そこに入ることに抵抗や自粛は無かった・・・
むしろ、何かをはやる気持ちが衝動として、沸き上がってきた・・・
[黒]
何も無いね・・・。
「嘘をつく・・・この期に及んで・・・」
[しらひめ]
そうだね・・・・・・。
沈黙・・・。
[黒]
彼女は今何を考えているんだろう?
何処に行きたいんだろ?
そこに行って何がしたい・・・?
一緒に居たい・・・?
話がしたい・・・?
抱き合いたい・・・?
キスをしたい・・・?
愛し合いたい・・・?
それとも・・・還りたい?
ははっ。乾いた笑い・・・
どれだけ膨らむんだ、僕の中の妄想は・・・
実際に逢って居るから良いけど、行動に出たらストーカーだな・・・
彼女の横顔から首筋に目を落として・・・
心の中でそっと微笑む・・・
ふと、彼女が口を開いた。
[しらひめ]
マン喫行かない??
歩いて行けるんだけど・・・
[黒]
マン喫?
まんが喫茶か・・・
そう言えば、行ったことないな・・・
(どんな所なんだろ?)
やっぱり、遊び?だよね?期待していたモノが一気に音をたてて崩れた・・・
うん!良いよ!
乾いた声でうなずく・・・もう、彼女を気遣う余裕や期待がない・・・
でも、握った手は話さない。
途中コンビニに寄っても、離した手を又繋ぐ。
何を繋ぎ止めたいのだろう・・・
彼女?
それとも、今この時だけを?
もう、訳が分からない・・・
彼女の笑顔・・・
彼女の温もり・・・
彼女の気持ちが解らなくなってきた・・・
鬼狂い・・・
発狂・・・
自己崩壊・・・
[黒]はもう知ってしまった・・・
禁断の果実・・・
その知恵の実にも似た・・・
甘い誘惑・・・
まるで、アダムとエバ(イブ)・・・
僕はエバを誘惑し自分も堕落してしまった、堕天使ルーシェル(ルシファー、ルシフェル)・・・
僕も絶対の神に対して、牙を向け、抗い続けるのだろうか?
そう、彼も神への嫉妬からエバを誘惑した・・・
僕は彼で、彼が僕・・・
汚れていく自分を、少しでも美化しようと脳内がざわめく・・・
今此処にはリアルしかないのに・・・
誰かに浄化してほしい・・・
[しらひめ]
[黒]〜着いたよ!
[黒]
まただ、話をしていた筈なのに・・・
憶えていない・・・。
いいや、このまま僕の中の流れに身を任そう・・・
出来る人を演じるのは、もう・・・
疲れた・・・
店に入り彼女が事を進める・・・
!!個室・・・?
ここでまた苦悩が始まる・・・
個室?
何故?
彼女が余計に解らなくなった・・・
でも、ソファーがある・・・
疲れたし始発まで休もう。既に、大した期待をしていない僕・・・
さっきまでの高らかな・・・
期待。
苦悩。
興奮。
欲情。
それら全てが、薄らいで、心にぽっかり穴が空いた気分になった・・・
失恋・・・
そんな綺麗なものじゃないな・・・
彼女も少し疲れたようだ・・・
2人でぐったりする。
ふと・・・彼女が話を始めた・・・
フインキが違う・・・
話が終わり、驚愕した。
僕の中で最大の壁であった結婚・・・
それすらも、感じさせない事実・・・
最愛と子供・・・
どちらも既にこの世には存在していなかった・・・
しかし、彼女の心には10年たった今も・・・
存在し・・・
残存していた。
僕は、その場から逃げ出したくなった・・・
自分が代用品の様な感じに思えてしかたなかった。
怒り、悲しみ、嘆き・・・全ての感情が込み上げてきた・・・
次の瞬間・・・
守りたい・・・
???何故・・・。
自分でもわからない・・・
自然と出てきた1つの確信にも似た気持ち。
多分、彼女の今よりも、今までがリアルに感情移入してきた・・・
彼女の中に彼が居るのが悔しいから?
違う!!!
彼女をモノにしたいから?
違う!!!
彼女には連れ合いが居るから?
違う!!!
子供が居たから?
違う!!!
違うんだ・・・。
話の中で彼女は不思議な一言を僕に語った・・・
[黒]は今まで恋が出来なかったんだね・・・
初めは何を言っているのか分からなかった・・・
僕にも今まで付き合いはあったし、体を重ねた事もある・・・
恋じゃない・・・?
彼女は続けて・・・
[黒]の心は彼女達にあった?
[黒]は愛していた・・・?
はっ!!っとする・・・
多分・・・飾りだった・・・居れば良かった・・・見せ掛け・・・寂しかっただけ・・・それが恋だと勘違いしていた・・・
じゃあ、今の気持ちが・・・恋・・・?
僕の中で何かが弾けた・・・
間髪を入れずに今度は自分の話を語りだしている・・・
彼女の真剣な目・・・
何の疑いもなく淡々と・・・
彼女は何か感じてくれただろうか?
彼女も助けたいとか思うのだろうか・・・
思ってほしい!!!
そう、願う僕が隣に居る・・・
話を聞き終わると彼女は・・・一言・・・
両手を広げて・・・
「おいで。」
迷いは無かった・・・
その時初めて・・・
彼女に触れて・・・
彼女を感じて・・・
彼女をみた気がした・・・
初めて知る温もり・・・
安らぎ・・・安心・・・
唇が触れ合うまでに時間は掛からなかった・・・
触れた瞬間・・・少し小さく震える彼女・・・
背徳なのか?
緊張なのか?
そんな事はでうでも良かった・・・
抱きしめて、抱きしめられて・・・
あっという間に時間は過ぎていった・・・
帰りに見送る僕・・・
見送る彼女・・・
とても、儚く、悲しそうにみえたのは何故だろう?
家に着き・・・
反芻する・・・
まだ、淡い夢の中・・・
今日の出来事が幻に思える・・・
素敵すぎる、時間を否定している自分がいた・・・
受け入れてしまえば、逢いたくなるから・・・
しかし・・・
もう・・・
遅かった・・・
急に寂しさと虚無感に再悩まされる・・・
苦しい・・・
息が出来ない・・・
消えてしまいたい・・・
そう思える程彼女が愛しい・・・
確約は何もしていない・・・
次に逢えるかもわからない・・・
悶え・・・
そして・・・
苦しみながら・・・
深い眠りについた・・・
限りなく黒い白第一章 完
続
え〜ご愛読ありがとうございましたm(__)m
本日を持ちまして完結となります
完全におしまいです
もう、やりません
嘘です・・・(T_T)
いやーしかし、何気に書けたね(-_-;)
小説のコンセプトが自分本意で読み手に対してが弱い・・・
二章は今考え中です
二章はもっと読み手に対して読める小説を構築していきますかなり歪に・・・何人の方に読んで頂いてるか分かりませんが、宜しかったらコメントなど頂けると幸いです
さぁて、頑張りますか