short story

□醜い娘
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海と山脈と深い森に隠された、美しい街がありました。
その街は白い壁、青い屋根の続く美しい町並みで、
その街にいる者は全て美しく、
また、美しいものしか入る事を許されませんでした。
それでも、その街にはこの世のありとあらゆる
美しいものたちが集まってきました。
 その街に三姉妹がおりました。
一番上の姉は褐色の肌に黒い髪、そして青い瞳を持っていました。
その知己に富んだ柔らかな眼差しで見つめられると、
どんな高貴な人でさえ、彼女の事を忘れる事が出来なくなりました。
二番目の姉は真っ白の肌に金色の髪、そして黒い瞳を持っていました。
その無邪気に輝く眼差しで見つめられると、
どんな疲れた人でさえ、彼女の事を忘れる事が出来なくなりました。
 一番下の妹は、褐色の肌に金色の髪、そして青い瞳を持っていました。
けれど姉たちから
「お前は醜いのだから、外に出てはいけないよ」と、
きつく言い含められていたので妹が外に出る事はありませんでした。
家の中でも真っ黒な布を身体中に巻き付けて、
決して誰も見る事の出来ない様にしていました。
それでも、たまに外に出ると街の人々から「醜い娘が来たぞ」と石を投げつけられました。
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