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□紅姫1
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 昔々ある所に王様がおりました。
その王様は若く勇敢でまた賢くあったのですが、まだお妃様がおりませんでした。
それを心配した大臣達が毎日美しい姫君をお城に連れてきましたが、王様が気に入る姫君は誰一人としていませんでした。
 そんなある日王様は夢を見ました。
王様が今まで見たこともないような美しい娘が出てくる夢です。
その娘は若く美しくまた賢くあったので王様は一目でその娘の事が好きになってしまいました。
王様がその娘に

「私と結婚してください」

と言うと娘は困った顔をして

「貴方には私よりももっと相応しい方が居るはずです」

と断りました。

「私は貴女程美しく聡明でまた慈悲に満ちあふれた人を見た事がありません。
貴女以外の人を愛せと申されるなら、それは不可能です」

王様は食い下がります。
娘は王様からどんな言葉をかけられても困った顔をして黙っていました。

 その夢を見た日から王様はその娘の事が忘れる事ができなくなりました。
食事も喉を通らず、夜も眠る事が出来ません。
そしてとうとう王様は病気になってしまいました。
大臣達は国中の医者という医者をお城に連れてきましたが、王様の病気は一向に良くなりません。
 王様は大臣達に夢の娘の話をし、その娘と結婚できなければ私は死んでしまうだろうと言いました。
大臣達は国中の美しい娘をお城に呼びましたが、どの娘も王様の夢に出てきた娘ではありませんでした。
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