ダルいズム。

□青い春3
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 この学校は三棟に分かれており、そしてどの屋上も開放されていない。
しかし一、二年のみの使う一棟は有重がどこからか手に入れてきた
ピッキング道具で鍵が開けてあった。
それを知るのは春太、有重、宏の三人と宏の弟とそのクラスメイトの小鳥だけである。
 春太は購買で購入した総菜パン数点と紅茶のパックを手に一人屋上に来ていた。
 一ヶ月に一度自主的に掃除を行っているので汚くはない。
貯水タンクの側に腰を下ろすとパンの袋を破く。
 と、赤いものが視界をかすめた、様な気がした。
 春太は首を傾げて辺りを見回すがそれらしいものは何もない。
気のせいかも知れないとパンを齧ると、ふと頭上から声が降ってきた。

「ここの学校は昼休みでも屋上空いてんねんな」

 特徴のあるイントネーション。
驚いて見上げると、貯水タンクにのばらが乗っていた。
危ない、と声をかける前からふわりと春太の前に降り立っていた。
その様子はまるで、人間ではないもっと不可思議なものの様に思え、春太は少し身をひいた。
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