ダルいズム。

□玻璃色恋心
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 咲夜は渡り廊下を歩いていた。
何の事はない、部活へ行く為だ。
咲夜はオカルト研究同好会に所属している。
実家が神社であるので
同好会長にスカウトされたのだ。
本当は演劇部に入るつもりだったのだが
咲夜が入らないと同好会がつぶれてしまうと泣きつかれ、今に至っている。
しかし同好会は楽しいので何ら不満はなかった。

「あ」

 三棟はグラウンドの方にある。
グラウンド側には様々な部の部室が並び立っているのだ。
私立の為か咲夜の通う学校は金がある。
上等なクラブボックスが建ち並ぶ。
とは言え、オカルト研究会は
同好会であるが故に特別なクラブボックスは与えられていない。
佐々岩の自由に出来る部屋を同好会室にしているのだ。
だから、咲夜は部室の方面に何ら用事はないはずだった。
けれど咲夜は毎日そちらに目をこらす。
あの人の姿が見えないかと。
 咲夜はある人を見つけた。
本当なら、その人を追って入るはずだった部室の前に。
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