ダルいズム。
□(milk)
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和子はスクラップブックを持って生物準備室前に来ていた。
後輩二人に無理矢理行かされたのだ。
しかめっ面のまま、ノックをする。
「はぁーい」
間延びした佐々岩独特の喋り方。
女を口説く時には普通に話せるのだから不思議でたまらない。
「私。和子です」
急にがたがたと何かを動かす音がした。
しばらくしてから、ようやくドアが開く。
「ごめん。ちょっとグロいモンだしてたから」
「どうせエロ本でしょ」
「まぁ和子ったら。
この神聖なる学び舎ではしたない言葉を使ってェ」
きゃっと顔を隠す佐々岩に和子は冷たい目を向けた。
来たくて来た訳ではない。
そんな不機嫌そうな和子に佐々岩はにっこりと微笑んだ。
「まぁ入りなってェ。何かのむ?」
導かれるままに部屋に入ると、そこは意外に綺麗だった。
佐々岩は冷蔵庫の中から牛乳を取り出すとアルミの鍋の中にそれを入れ、持ち込んだらしいガスコンロで温めはじめた。
「リクエストは?」
「おまかせで」
ミルクティーを煎れるのだろう。
和子はぼんやりとその様子を眺めていた。
佐々岩が青色の缶からスプーンで中の物を牛乳にいれる。
ふわりと甘い香りが漂ってきた。