short story
□醜い娘
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それを見た姉は
「妹が美しいと思いこんで、青年を騙そうとしているのだ」
と思いました。
そうして、どうにかして妹から青年を引きはがさなければならないと考えました。
その年、街で病が流行りました。
原因も分からず、人々は醜くなって死んでいきます。
姉妹は病を逃れていましたが二番目の姉がふとこういいました。
「これはあの子の呪いなのだわ。
今まで醜いと言われ続けてきたあの子が、
それを恨みに思って私たちを呪っているのよ」
それを聞いた街の人々は妹を捕らえようとしました。
妹はきっちりと布を巻いて逃げ出しましたが、
森を流れる小川の所でとうとう捕まってしまいました。
「あなたなんて妹ではないわ」
姉は言いました。
「どこからか紛れ込んできた、化け物よ」
松明を握りしめて言う姉の顔は醜く歪んで見えました。
妹の恐怖に怯える瞳だけが、黒い布の中からのぞいていました。
妹に、姉は燃えさかる松明を押しつけました。
松やにの嫌な匂いがしました。
黒い布はあっという間に燃え上がり、妹の身体は炎に包まれました。
「熱い、痛い」
妹は叫んで小川に飛び込みました。
けれど妹の身体は焼けただれ、二目と見る事の出来ない醜い身体になってしまいました。
命だけは助かった妹でしたが、家に戻る事は出来ませんでした。
妹の身体の右半分は醜い火傷に覆われて引きつったような跡が残りました。