short story
□ある屋敷にて―人形師と姉妹―
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「そうだね、この村に来て仕事がもらえるか不安だったんだ。
君たちからお父様に頼んでもらえないかな」
アレンは嬉しそうに言ったので、マリアとラミアは家に帰ると早速それを父親に伝えました。
父親も嬉しそうにそれを承諾すると、アレンに屋敷の一室を作業場兼住居として貸す事を決めました。
次の日マリアとラミアがアレンにその事を伝えると、アレンは大喜びして姉妹の屋敷を訪れました。
「有難うございます。
仕事ばかりか住居まで与えてもらったからには、
私の生涯で一番素晴らしい人形を作って見せましょう」
アレンの人形は、それは素晴らしいものでした。
大きさこそ違えど潤みを持った瞳も薔薇色の頬も、本当の人間にしか見えず、それらは全て今にも動き出しそうでした。
「君たちと全く同じ人形を作る様に言われたのだけれど」
アレンは言いました。
妹は手を叩いて喜びます。
「それでは私たちは四つ子になるのね。
素敵だわ」
姉は妹の喜ぶ様子を、微笑みながら聞いていました。