short story
□I'M GONNA LEAVE YOU
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帰り道、私は泣いた。
ぼろぼろと涙を流しながら歩いていた。
彼を引き留める術を、私は知らない。
それこそ私を引き留める術と彼を引き留める術は全く違っていたから。
それでも私は彼が好きだった。
私が嫌いな食べ物を文句を言いつつ食べてくれる所とか、嫌いだった冬に私を連れ出して楽しい思い出をたくさんくれた所とか。
大好きだった。
好きな歌が違っても、唄い方が違っても、私はそれが好きだった。
一緒なのは、楽しくないから。
気がつけば私はCD屋にいた。
カラオケから自宅までの間にあったCD屋で彼の最後に唄った曲を探していたのだ。
それは昔のロックだった。
家に帰って私はまた泣いた。
曲を聴いて、歌詞を見て泣いた。
その日は一日中泣き声を消すために大音量で音楽を流し続けていた。