short story
□囚われの自鳴琴
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そんな日が何日も続きましたが少女は昼も夜も、恐いもの知らず達が塔に挑む間でもお構いなしに歌い続けていました。
家来達はあの少女は化け物なのではと囁きはじめましたが王子はそれでも気にしません。
五日目の昼、少女の声がぱたりと止みました。
王子は少女が死んだものだと思って寺単打を踏みました。
けれど遠くの方から歌ではない何かの音が聞こえてきました。
「怪物だ!」
遠くからやってきた怪物は恐いもの知らず達も家来達も王子様もみんな残らず食べてしまいました。
それから満腹になったのかまた遠くに帰っていきました。
ぐちゃぐちゃになった森に一人の男が現れました。
男は無事だった塔を見上げて何か呟きました。
「ラプンツェル、ラプンツェル、お前のその髪下げとくれ」
するとどうでしょう、扉のなかった塔から立派な扉が現れました。
男は扉を開くと螺旋階段を上っていきます。
最上階に着くと男は少女の隣に腰を下ろしました。