short story

□囚われの自鳴琴
3ページ/3ページ

 少女は美しい姿そのままでした。
男は少女を抱え上げると長いスカートをめくり背中を露わにしました。
 そこには、ゼンマイを回す穴がありました。
 男はゼンマイを回しながら呟きます。

「やれやれ、また暴れちまったか。
 でも扉を開けるのを見られたら誰がこのオルゴールを持って行くか分かったものでもないし……」

 しっかりゼンマイを巻くと、少女はまた唄いはじめました。
怪物を眠らせる、魔法の子守歌を。


お題提供
椿姫
前へ  

[戻る]
[TOPへ]

[しおり]






カスタマイズ