middle story
□魔女と男の子1
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男の子は、ぼんやりと空を眺めていました。
雨上がりの風は重たくて、湿っていて、あんまりいいものではありませんでしたが、もしかしたら虹が見られるかもしれない。
そう思ってじっと空を眺めていました。
男の子はあるものを見つけました。
それは虹ではありませんでした。
女の子です。
女の子は雨上がりのアスファルトにできた水たまりで遊んでいるようでした。
水たまりには、いくつかの葉っぱが浮かんでいます。よくよく見てみると、それは笹舟でした。
男の子は空を眺めるのをやめて、女の子を観察することにしました。
虹の出ていない空を眺め続けるよりはいくらかましだと思ったのです。
女の子は、絵本で見た魔女のような格好をしていました。
真っ黒のとんがり帽子とやっぱり真っ黒のワンピース。
そして黒のブーツを履いているようでした。
男の子はじっとその女の子を見つめていましたが、女の子がどこかへ行こうとしたのであわてて追いかけることにしました。
急いで家を出ましたが、女の子はそのままじっと空を見つめていました。
「何しているの?」
男の子は声をかけました。
女の子はゆっくりと男の子を見ます。
近くで見てみると女の子は日本人ではないようで、金色の髪と、青い瞳をしていました。
金色の髪は長くてさらさらしていましたが、毛先の方だけパーマがかかっていました。