middle story
□魔女と男の子2
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染髪された髪などではなく、人工的に作られた色ではなく、
彼女の金色に光る髪の、彼女の澄んだ瞳の色の、なんと美しいことでしょう。
抜けるような白い肌の、漆黒に飾られた彼女の、なんと美しいことでしょう。
男の子は一見日常に見えるこの非日常の横顔を、頬を赤らめて見つめておりました。
「何だ、そんなに見つめて。
私の顔に何かついているか?」
急に魔女がこちらを振り向き男の子の顔をのぞき込みました。
澄んだ空の青色をさらに薄くのばしたような、けれど氷ほどは冷たくない青い目が、真っすぐに男の子を見つめています。
男の子はびっくりして、耳まで真っ赤にしてぶんぶん頭を横に振りました。
どうも魔女といると調子が狂うようです。
まず、女の子と手をつなぐということなんて、恥ずかしくてできるはずありません。
なのに、こうして魔女とは手をつないで並んで歩いています。
いつもはほとんど取り乱すことはないのに魔女の顔を見ると顔が赤くなります。
魔女は怪訝そうにしながら
「そうか?ならいいが」
と言って前を向いて歩き続けました。
男の子はほっとして溜め息をつきました。
そしてふと気が付きました。
お母さんが見つかったら、魔女と一緒にいることはできない、と。
この小さくて柔らかい、そして暖かい手を放してしまうのはとてもとても勿体ないと、男の子は思いました。
だから男の子はもっとしっかりと手を握りました。
「どうした?恐くなったのか?」
魔女が揶揄するように言います。
男の子は首を横に振りました。
「違うよ、違うよ……ぜんぜん、こわくなんてないよ……」
自分の目に涙がたまっていることに、男の子はようやく気が付きました。