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□BLESSING―死の女神―2
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「あんたも、仲間?」
女は静かに男に問いかけた。
男はがたがたと震えながら地面に座り込んだ。
「あんたも、ルサンチマンの餌になりたいの?」
「いっ命だけは助けてくれぇっっ」
ゆっくりとした足取りで近づく女から逃れようと、男は上がらない腰を上げようとしたが箱を勢いよくひっくりかえした。
女の手には、ブレード。
血に濡れた、ルサンチマン。
もう片手には、首。
男二人の、取れたての首。
「やめてくれえぇぇぇぇっ」
崩れた箱をバリケードにしたいのか、男は脅えながら更に箱を崩して行く。
「あんただけ、助かろうって言うの?
虫よすぎない?」
「おれっ俺は違うっ!
女神に手を出しても死ぬだけだって、止めたんだっ!
違うっ違うっ」
何が違うのか。
男も分からずに命乞いをした。
情けなくてもいい。
死ぬのが、いやだ。
「こいつらとは違って賢いみたいだしね」
女はそう言うと、持っていた二人の首を男の足元へと投げた。
「逃がすとは言ってない。
このままじゃ、おもしろくないから」
「あ、あああ……」
男は掠れた声しか出せず、女の意のままにされていた。
顎を捕まれ顔を上げさせられ。
そして顎を持ったまま転がされた。
仰向けにひっくりかえりそこを女に切りつけられた。
「ああああっ」
「煩いなあ。
もう一ついるんだから」
女に顎を踏まれ、もう一つ、傷が入る。
罰点の形に、額から頬にかけて。
「あはははははっ」
女の哄笑が聞こえる。
しかし男はそんなことはどうでもよかった。
傷が痛い。
熱い。
苦しい。
喉が渇いて何も話せない。
「いい?
このことを誰かに話したら殺しに行くから」
それから、と女は付け加えた。
「次にわたしに会ったら、殺すよ」