middle story
□唄う森1
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昔々ある国のお話。
一人のそれは可愛らしい少女がおりました。
少女は歌を唄う事が大変得意で、毎日の様に森の中で歌を唄っておりました。
ある時少女はある国の王子様に見初められました。
「なんと美しい娘だろう。
あの人と結婚して、あの人の歌を毎日聞く事が出来たなら、私はきっと天上におわす神々よりも、幸せな生活を送る事が出来るだろう」
王子は少女に求婚しましたが、少女は決して首を縦に振りませんでした。
「私はこの森で唄う事が、何よりの幸せなのです」
王子はこの言葉に大変落胆してお城へ帰りました。
その話を聞いた王様は、なんとか少女を王子のめかけにと、沢山の宝物を贈りましたが、少女はそれを全て返してしまいました。
「私はこの森で唄う事が、何よりの幸せなのです」
王様はこの言葉に大変落胆して贈り物を止めました。
その話を聞いた王妃様は
「何と無礼な娘であろう」
と少女の元に使いを出しました。
「貴女が王子のめかけにならないというのなら、貴女の家族と友人を全て死刑台に上げましょう。
それでも嫌だというのなら、この森を焼き払ってしまいましょう」
使いの話を聞いた少女はさめざめと涙を流しました。
「私はこの森で唄う事が、何よりの幸せなのです」