middle story

□ヘブンリー・ブルー2
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 話は変わるが、雪美はそんなにも儚い雰囲気の女の子だった割に、女としては成熟していた。
毎月、判を押したように四週間ごとに月経が来るのだといっていた。
棒切れか何かのように細い彼女の中の、一体どこに彼女以外の誰かを養おうとする機能が隠れていたのだろう。
当たり前と言えば当たり前の事実に、僕は困惑したものだった。
その上たちの悪い事に彼女は月経の来る時が決まっているのにいつも来る時を忘れているのだ。

「今日あたりじゃないのかい」
「そうだったかしら」

 僕たちの間にそんな会話が幾度となくかわされる程だった。
極めつけに、そのあと彼女はこう続けるのだった。

「多分わたしは子供が出来て月経が来なかったとしても忘れていると思うの。
周りの人にお腹が出てきたんじゃないと聞かれて、初めて子供が出来た事に気がつくのだと思うわ」

 事実、彼女はそうだった。
誰かに言われた訳ではなかったが。
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