middle story
□ヘブンリー・ブルー2
4ページ/7ページ
僕は雪美を連れて僕の部屋に行った。
手を握ったままだった。
「澄の部屋に来るのは、久しぶりだわ」
雪美が言う。
まだ気分が悪そうだった。
僕は部屋の電気を付けないままでいた。
もし誰かに見られたらと思うと心臓が張り裂けそうだった。
僕は硝子で出来た灰皿を手に取った。
安直だと思ったが、持ちやすく、重たく、また処分のしやすい物は他になかったのだ。
雪美がこちらを向かないままに、振り上げる。
意外に鈍い音がした。
もっと綺麗な音がするかと思っていた。
でもそれは当たり前で、雪美も確かに質量を持った人間なのだ。
一瞬遅れて雪美が悲鳴を上げる。
その事実に僕は驚いた。
普通の人間のように、雪美は、殴られれば悲鳴を上げるのだ。
そのどうしようもなく真実である事実が、僕の頭の中を冷えさせた。
僕は雪美の口を布団で覆うと血がつかないように、処分する予定だったタオルで傷口を覆った。
そして雪美が静かになったのを確認するとナイフと雪美を抱えて部屋を後にした。