ダルいズム。
□青い春
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本当に、何を言われたのか分からなかった。
自分がえりあと別れたい?
そんな事、あるはずがない。
「浮気したら別れる原因になるよね。
でも春は優しいから私を傷つけると思って浮気なんか出来ないでしょ。
だから私が浮気したの。
春が別れようって言える様に」
言葉は、でない。
言いたい事は山程有るはずで、伝えていない事も限りなくあるはずで。
夜風が、えりあの髪をふわりと持ち上げる。
「さよなら」
えりあはジャケットを脱ぐと、春太に手渡した。
そのままきびすと返して走り出す。
春太は、何も言えずにその場に立ち尽くしていた。
ただ呆然とえりあの消えていった闇を見つめていた。