ダルいズム。

□青い空の上に
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「あいつらしい」

 ふっと息を漏らして笑うと、理央は少しだけ悲しそうな表情で続けた。

「あたし、そんな事を考えた事もなかった。
少しも気にとめた事もなかった。
きょうだいなのに、どうしてこんなにも違うのかしら」

 きょうだいなのに、ふたごなのに。
性別も性格も、何もかもが異なる。
見るところも違う。
楽しいところも違う。
 理央はきっと寂しいのだ。
絵梨花はまぶたを伏せて思った。
 しかし告げることはしない。
彼女らの問題に自分が踏み込む必要はないし、
また踏み込む事を望まれてもいない。境界はわきまえているつもりだ。
理央は悲しそうな顔のまま動こうとはしない。
長い睫毛が頬に影を落とす。
大きな瞳。
小造な鼻と口。
細い首と華奢な体。
 絵梨花は目を細めて
曇った空からの淡い光を後ろにうける少女を見る。
 理央は健康的だ。
短い髪も焼けた肌も現世に生きる人間だ。
しかし有重は違う。白い肌、細い腕。
夢幻を彷徨う生き物だ。
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