ダルいズム。

□梅雨と憂鬱
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「十一時」
「……いつも何時に寝てんの」
「十時」
「……」

 どれだけいい子なんだよ。
口に出しかけた言葉を飲み込んで、そうかとだけ答えた。
寝不足の時に話かけられるほど嫌な事はそうそうない。

「のばらどうって?」

 有重が問う。
春太は言うべきか少し悩んでから答えた。

「寝不足らしい」
「寝不足?」

 今日は徹夜が多いのか。
有重は小さい声で呟いた。

「いつも十時に寝てんだって」
「そりゃあ早いね。
で、昨日は何時に寝たの?十二時?」

 春太は言うべきか中々に考えてから答えた。

「十一時」

 きょとんとした有重の顔。
少し困った春太の顔。
そして、有重が呟いた。

「子供か」

 言いたかった。
でも言ってはいけないと思う。
だって睡眠時間は人それぞれで、何時に寝ようが全くの自由なのだから。
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