ダルいズム。
□梅雨と憂鬱
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人は見掛けによらないよね。
うん、本当にな。
だって髪赤いんだよ?
人のこと言えるのか?
僕は善良な市民だ。
ふぅん……。
のばらを起こさないように小さい声で囁きあっていると宏がやってきた。
「宏、おはよう」
「はよー」
しかし宏は答えずにさっさと自分の席についてしまった。
「ちょっと宏、挨拶したんだから返してよ」
「……知るか」
不機嫌そうに答える。
多分宏も寝不足だろう。
宏は元々低血圧だが、目の下にうっすらと隈ができていた。
「昨日何時に寝た?」
「4時」
「もう朝だろ。何やってた訳?」
宏は答えようと口を開きかけたが、すぐにまた閉じてしまった。
「今言いかけたんじゃない?なに?なに?」
「何だっていいだろう」
なおも執拗に質問してくる有重に宏は盛大な溜め息をついて不快さをあらわした。
しかし、有重は気にしない。