ダルいズム。
□梅雨と憂鬱
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「ほらほら、教えてよ」
「……」
有重の袖をぐいと引っ張るとその耳に何やら耳打ちする。
有重はにんまりと笑った。
「ははぁ、成程ね」
春太が首を傾げるが、宏は知らぬ顔をして一限目の準備を始める。
「なんなんだよ、俺には言わないのかよ!!」
「子供は黙ってなさいねー」
「何でだよ!!」
ばしん、と大きな音がした。
恐る恐る振り向くと、そこにいたのは赤い髪の少女。
「眠いねんから寝させーよ!!
お前らうるさいねんっ!!」
「ご、ごめん……」
春太は確に近付いてくる梅雨の気配を感じながら、同時に次に襲われるであろう痛みを覚悟したのだった。
雨はやんで、そろそろ晴れ間がのぞいている。
「ごめんなさーい!!!」