ダルいズム。
□青い春2
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「気ィ付けえ、アホ」
一瞬、母がいるのかと思った。
しかし目の前いるのはどう考えてもこの少女だけで、少なくとも母はここまで口が悪くない。
春太の頭が着いていかないうちに、その女の子はさっさと道を進んでいった。
そしてふと気付く。
「学校」
結局、近道を猛ダッシュしていった。
正門から入らずフェンスをよじ登るとかなりの近道になる。
春太は今日もそれを実行していた。
しかしその近道は同時に、告白の場でもあった。
「私、須藤君の事が好きなの」
声が聞こえて身を固くする。
急がないと遅刻するぞと思ったが相手はお構いなしに告白を続けている。
告白を受けているのは青い髪をした男だった。
名を須藤有重。
春太の友人の一人である。
「あ、春太」
フェンスにしがみついた状態で名を呼ばれる。
今のうちだと飛び降りて、地に降り立った。
「コイツもこんな感じだし、返事は後でさせてもらうね」
にっこりと有重に微笑まれれば
断れる女はいないだろう。
告白していた女子も例外ではなく
顔を真っ赤にして頷くと走り去っていった。