ダルいズム。
□青い春2
6ページ/8ページ
ふと宏が春太の顔を見た。
少しだけ眉根を寄せる。
「顔色悪いぞ。どうかしたのか」
ああ、嫌な夢みちゃってさ。
応えようと口を開いた瞬間、
教師が入ってきた。副担任の佐々岩マドカだ。
癖なのか、地毛と言い張る茶色の髪をかき上げながら生徒達に座る様促す。
「今日はみんなが盛り上がるニュースがあるぞー」
教師にしておくのは勿体ないと言う容姿から、佐々岩は女子生徒に人気があった。
キザな立ち振る舞いが多く男子には嫌われているのかと思いきや
年齢が近い為もあってか、はたまたどこか抜けているからか
男子にもそれなりの人気がある。
しかし三年の女子と付き合っているという噂がそこここで聞かれている為か、教師達の評判は良くない。
佐々岩はまだ立っている春太を無視してある女生徒を教室に招き入れた。
赤く長い髪。
黒く潤んだ大きな瞳。
短いスカートから伸びる足はしなやかで、一瞬その美しさに息をのむ。
「あ、今朝の」
関西の訛りが入った声で女生徒が呟いた。
そうだ、この赤い髪を引っ詰めた少女は、見まごうことなく今朝の少女だ。
「なんだ、お前ら知り合いかィ?」
佐々岩がとぼけた声で漫画の様な台詞を呟く。
春太の席は廊下側の一番端。
正直、隣は空いている。