ダルいズム。

□青い春2
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 逃げる様に教室から出て行く佐々岩を眺めながら、
春太は弁当をとりだした。
前の席の有重が不思議そうに振り返る。

「どうかしたの?」
「夢見悪くってさあ。
寝過ごすし朝飯は転校生とぶつかって落とすし。
ロクな事ないな」

 昼食は購買で買う事にする。
一限目が始まる前にと大きく口に含んだ。

「ぶつかって落とすって……まさかトーストくわえてたとか言うんじゃないよね?」
「そのまさか」
「昭和の漫画か」

 呆れかえった声を出されて、春太は多少むっとする。
自分で望んだ事ではないし、第一起こってしまった事は仕方がない。
 自分の列の一番前。
のばらの赤みがかった髪を、恨みを込めて見やる。
のばらは相変わらず無表情で、誰も近づけない様な雰囲気を出していた。
美人の転校生に誰も声をかけないというのはよっぽどなのではないだろうか。
 本人は気にした様子ではなかったが、
春太は飯を飲み込みながら寂しくはないのだろうか、と思った。
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