ダルいズム。
□青い春4
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春太が状況を説明すると絵梨花が少しだけ考えて口にする。
「そういう事なら、体育館裏じゃないのか」
三棟と体育館の間は、人通りが少ない。
ありきたりな場所だと絵梨花は言ったが、
女子トイレではなくて本当に良かったと春太は胸をなで下ろした。
教師に伝えても良かったのかも知れないが、
転校初日で早速問題があったとなればのばらも肩身の狭い思いをするだろう。
そう思って告げ口はしなかった。
「五対一は辛いわね」
理央が言う。
まだ何かあると決まった訳ではないが、絵梨花も理央も口をそろえて
さらに最悪の事態を考えておくようにと言った。
何が起こるのか、春太には分からなかった。
「春太はどうして転校生の事を気にしているんだ」
理解できないと言いたそうに絵梨花は言う。
そうかもしれない。
しかし目の前で連れて行かれた少女を、どうしても放っておく事は出来なかった。
「春太はいいひとなのよ」
「そう?」
「私たちが変なだけなのかもしれないけど」
ごつんと、硬いものがコンクリートに当たる音がした。
最悪の状況。
その状況がどういうものを指すのか、春太はまだ分かっていなかった。
それでも足の速度を速めて現場に着く。
「……のばら」