ダルいズム。
□青い春4
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赤い髪の少女は草の生えた校舎裏にすっくと立っていた。
口の横に、アザがある。
「のばら!」
「はる?」
がさりと草を踏み分けると黒江が座り込んでいるのが見えた。
他の少女達も同様に、涙を浮かべながら震えている。
「最悪の、状況。ね」
理央が肩をすくめて言った。
どうやら彼女たちの言っていた最悪の状況はこれではないらしい。
それでも、春太はそっとのばらの腕をとった。
今度は逃げも、振り払われもしなかった。
「行こう」
のばらは少女達に一瞥もくれず、
大人しく春太に従った。
「待ちなさいよ!」
黒江の声が聞こえる。
のばらが振り向くことはなかった。