ダルいズム。

□I love you.
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 彼女がベッドを去ると宏はもぞりと動きだした。
大きな欠伸をひとつして、カーテンを開けた。
 額の傷がずきんと痛む。
少し顔をしかめてからベッドから降りると仕切り代わりの布をとくぐった。

「萌」

 台所に立つ小さな背中。
朝の気だるさに任せて抱き締めると、その身体はわずかにぴくんと反応する。
 耳の後ろに軽く口付けると彼女は振り向いて、
色付いた唇でもう、と発音した。

「早く朝御飯食べてね。
学校に行く前に片付けたいから」

 促されるままに食卓につく。
暖かな御飯と手のかかった副菜。
自宅にいた時ならば絶対に考えられないような食卓。
 おかしな話だが、
宏は自宅を出て萌と生活を共にするようになってから
初めて家庭というものを知ったのだった。

「美味しい?」
「ああ」
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