ダルいズム。

□7月7日、曇り。
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「まず一番に抱きしめる。
そうして気が済んだら
今度は穴が空く程に絵梨花を見つめる。
網膜に、
否、心に、魂に
絵梨花の美しい姿
を焼き付ける為に!
それで」
「そんな事してたら、
正直他人の願い事を
叶えている場合じゃないよね」

 はっと、
ジョアンは顔を跳ね上げた。
驚いたような表情だった。

「……そうだね、それどころでは、ないよね」

 急にしゅんとして呟いた声を聞いて、
有重は満足そうに頷く。
真面目なジョアンは何事も真剣に受け取るので
からかうこちらはとても楽しいのだ。
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