ダルいズム。
□7月7日、曇り。
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ジョアンは自分の短冊をくしゃりと丸めると
ゴミ箱の中に放った。
そして、新しい短冊を一枚引き抜いて、
再び筆で流麗な文字を綴り始める。
「織姫と彦星が、
ずっと一緒にいられますように」
ジョアンの短冊にはそう書いてあった。
「ジョアン?」
「僕は二人に何もしてあげられはしないけれど、
こうやって祈る事くらいはできるよね」
純真な笑顔で、ジョアンは言った。
有重は狼狽える。
「この願い事くらいは
叶えてもらえるといいなあ」
まさかこんな風な行動をとるとは思ってもいなかった。
とりあえず演劇部の部長らしく
心から祝福しているような笑みを顔に貼り付けて、
「そうだね、
これが二人にとっては一番の願いだもんね」
と、答えておく。