ダルいズム。

□(milk)
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「……ちょっと待って」
「なに?」

 佐々岩は不思議そうに振り向く。
甘い香りは部屋の中に充満していた。

「それ、ミルクティー?」

 和子はちょっと躊躇いがちに訊ねる。
その香りは和子の知っているミルクティーの香りはかなりの隔たりがあった。

「和子知らないのかァ?
牛乳の中に直接茶葉を入れたら茶葉がひらかないじゃん」

 困った子だなぁと笑う佐々岩。

「それとも和子、チョコレート嫌い?」

 確かに。
確かにこの香りはチョコレートその物であるのだけれど。
どうして今チョコレートなのだ?
ココアだろうと予想をしていた和子は首を傾げる。
とは言えココアもチョコレートも原材料はカカオだ。
きっとそう言う事だろうと思いながら、和子は訊ねた。

「ねぇ、それ何?」
「ホットチョコレート」

 ホットチョコレート?
それならば缶から出したのは刻まれたチョコレートだと言うのか。
何故、そんな物が常備してある。
 和子はぐっと疑問を飲み込んだ。
佐々岩の不思議な言動は今に始まった事ではない。
一々気にしていたらきりがないではないか。

「なぁ和子、冷蔵庫から牛乳だして」

 味付けがうまくいかなかったらしい。
和子は
渋々冷蔵庫のドアを開けた。
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