ダルいズム。

□ジョアンの頭から
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 彼女は悩みながらポケットをまさぐり、何かを探し出した。
そしてその何かを右手に、僕の髪を掴みあげる。

「なに?」
「大人しくしていろ」

 目を閉じて静かにしていると頭上でからからと音がした。
プラスチックの音だった。

「出来たぞ」

 その言葉を合図に目を開けば、視界はずいぶんとはっきりしていた。
ただ額がひどく引っ張られる気がして、僕は頭に手をやった。
 ふわふわとした髪が触れる。

「パインアップルみたいだが、随分と良いだろう」

 頭の上で、しばられた髪がぴょこんと揺れている。
プラスチックで出来たヘアアクセサリーがからんと安っぽい音を立てた。
僕は嬉しくなって顔いっぱい笑った。

「うん!」
「……煩い」

 迷惑そうな君の顔が少し笑っていたのは、きっと見間違いなんかではないだろう。
 ああ、願わくは。
君と僕がずっと笑っていられますように。





 
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