ダルいズム。
□死にたがりの小鳥と
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喉をおされて声が出なくなった。
自分の首はなんと細い。
いとも簡単に彼の手のひらの内に収まってしまっている。
強い力で首を絞められ、頭がくらくらした。目がかすむ。
その時小鳥は見た。
零斗の表情が、泣きそうなのを。
小鳥は床に倒れて、零斗は馬乗りに首を締めていた。
しかし零斗は小鳥の意識が遠退きかけた時、ぱっと手を離した。
突然多くの空気が身体に入ってきたために小鳥は咳き込み、零斗は身体をどけた。
ようやく小鳥の咳が落ち着いた頃に、零斗はぽつりと声を出す。
「何で叫ぶんだよ。死にたいんだろ、怖くないんじゃねえのかよ」
小鳥は呆然としていた。
まさか彼がこんな事をするだなんて思ってもみなかったのだ。
小さな身体が、かたかたと震え出す。
歯を食いしばって、自分の身体を抱きしめる。
「お前さ、本当は死にたくねぇんじゃねえの」
零斗の言葉に、小鳥はびくんと身体を跳ねさせた。
違う、私は死にたい。
懸命に言い聞かすように首を振った。
「じゃあ何で叫ぶんだよ。死にたくないからだろ、怖いからだろ。生きたいって思うから抵抗すんだろ」
違う、違う違う。
首を振り続ける小鳥の膝に、ぽたりと水滴が落ちた。
雨が降っているのかと思ったが、どうやら違う。
小鳥はその時初めて自分が泣いていることに気がついた。