ダルいズム。
□君の隣に
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私は理央に声高に語った。
かなりの力強さを込めて語ったつもりだったのだが、目の前の少女は生気のない目をこちらに向けている。
まさか私の口調があまりにも単調だった為に興味を殺がれたのではないかと危惧する。
しかし私は充分な程に感情を込めて語ったし、何より身振りまで交えていた。
退屈する要素など一つも見当たらない。
「要するに」
頬杖をついた理央は低く発声した。
「割り込みされて腹が立ったってことね?」
「要約すると、そのようになるな」
美しくまとめられた文章に頷くと、理央は大きく溜め息をついた。
そして人差し指を私の鼻先に突きつける。
「人を指で指してはいけないと言われなかったのか」
「嫌になるくらい言われたわよ。アンタからね」
「それならば尚やめるように留意するべきだろう」
さも忌々しいとでも言いたげに顔をしかめ、指を引っ込める。
これで彼女の悪癖の一つが改善する事を祈ろう。
しかし彼女は諦めなかった。
平手を私に差し出し、私を指し示した。
「アンタの話は嫌になる程長い。そしてややこしい。難しい」
「……そうだろうか」
「自覚してないトコが一番イヤね」
なんであたしのまわりの人間は小難しいことばっか言うのかしら。
顔をしかめたまま呟く。
否、それは囁きに近かった。
私は別段難しい事を話していりつもりはない。
思った事を素直に口に出している。
それにもかかわらず大半の人間が私の話をつまらない、難しいと評するのだ。
これは正当ではない評価だと常に訴えているのだが、受け入れられた試しはなかった。