ダルいズム。
□君の隣に
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そう、一人だけ。
一人だけ私の話を楽しそうに聴く人間がいた。
「一つ訊きたいのだが」
「なによ」
理央は差し出していた平手を頬杖に戻していた。
「理央の周りの人間とは、私を含めて有重なのか、それともハーディーか」
「なんでハーディーが出てくんのよ!」
「なんだ、違うのか」
それは至極残念と私は席を立つ。
理央は当然ながら訝しげな表情を浮かべた。
「どこいくの」
「お前の機嫌が悪いから、私は図書館にでも避難する事としよう」
眉をしかめたまま、理央は私を睨みつける。
「そう、ジョアン君のトコでもどこでも行くがいいわ」
その表情があまりにもふてくされているようで、拗ねているようで、私は笑いをこぼした。
確かに図書館に行く、と言うよりも図書館で聖書を読んでいるであろう青年に会いに行くと言った方が正しい。
彼に会ったらまず何から話そうか。
それを考えながら歩くうち、私の不機嫌は不思議と消えていったのだった。