ダルいズム。
□The opacity truth
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春太君は学校の友達で、たまに聞く学校の出来事も大体春太君。
いつだったかに見てしまった発着信履歴は春太君ばかりだったような気がする。
さすがにメールは見ていないが、またにメールをしている時に誰かと訊くと春太だと返ってくる。
「‥‥」
私はアイロンの手を止めた。
いや、まさか。
しかしこうまで揃うと否定しにくい。
いやいや、それでもそのような事は。
私は、宏の恋人でいたつもりだったが、もしかして本当の恋人は春太君なのではないだろうか。
私は遊び?
いや、都合のいい家政婦か。
だって宏は家に帰りたがらない。
そして私は家に泊めてあげて、しかも身の回りの世話もこなしている。
だからと言って春太君は男の子だ。
ハーフなだけあって綺麗な顔立ちをしているけれど、どう見たって男の子だ。
まさか宏にそちらの趣味があったのか。
いや、そんな事は。
私はぐるぐると思考を巡らせ、そして頭をふった。
いくら何でもこの考えは春太君に失礼だ。
万一宏にその趣味があったとしても宏の片思いに決まっている。
春太君には中学校の頃から付き合っている彼女がいたと聞いたし、でもしかし、最近別れたとも聞いた。
いやいやそれで決め付けるのはまだ早い。
私は数少ない宏の発言を一生懸命に組み合わせて考えた。
けれど結論が出るには程遠そうだ。
泣きそうになりつつも宏のワイシャツにアイロンをかける。
何が真実なのか分からない。
何を信じて良いのか分からない。