ダルいズム。
□The opacity truth
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くすくすと胸の中で笑いを漏らすと不機嫌そうに顎を頭に乗せてきた。
「何がおかしい」
「別に?」
くすくす。
笑いを止めないでいると腕にこもる力が強くなった。
しかしその様子さえおかしく、私はまたくすくすと笑う。
「何でもないのよ、本当よ」
「‥‥」
「ねえ、ケーキ食べる?チーズケーキ焼いたの」
そう告げるとようやく腕から解放された。
依然として不機嫌そうな表情。
「‥‥食う」
「食べる、ね。今用意するから」
笑って立ち上がるとやはり宏は不機嫌な表情のまま腕組みをする。
あの無愛想な顔を可愛いと思っていられるうちは、きっと大丈夫だ。
私があれを愛しいと思える。
その事実だけは、信じてみようと思った。