short story

□魔法の指先
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 私は生まれてきてはいけなかったのだと心の底から思う。
生きる価値のないゴミだ。
消えてしまえばいい。
何故今まで生きていた?
思い返すと死ぬチャンスはいくらでもあったように思えるのに。
あのような失態を犯す前に死んでいればよかったのだ。
皆が皆私を忌み嫌い、あざ笑っているかのような妄想とらわれる。
そう、妄想。
被害妄想に過ぎないこの思いはさらに私を苦しめる。
被害妄想の激しいクズ、お前のような人間がいるから駄目なんだ。
死ね、死ね、死んでしまえ!
 
「うるさい!」

 私は鮮やかに彩られた壁に頭をぶつけた。
何度も、何度も。
一瞬しびれてふらつくが、それでもまたぶつける。
一瞬だけでもこの心の声から逃れられるのだったら何でもよかった。
 心は楔を打ちつけられて痛いと悲鳴を上げる。
やがて楔は錆付き傷は腐り慢性的な痛みに悩ませられるのだ。
だから私は身体を傷つける。
痛みで痛みを忘れるために。
 刃物はいけない。傷が残るし、血液は飛び散るし、第一力が要る。
頭の打ち付けるのは体重をすべてかければいいだけだ。出血もしにくい。
 
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