middle story

□夢の通い路1
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 浅田は無言でカードをめくり、また戻した。
どうやら神経衰弱をしていたらしい。

「グリンの番だ」
「えー今僕見てないよ!どこめくったの!」
「忘れた」

 きゃんきゃんと騒ぐグリンに対して浅田はあくまで静かだ。
ぽかんと眺めていると有木隊長はまた笑って頭をかいた。

「この二人はいつもこんなんだ、慣れてくれ」
「はあ……」

 困り果てながら僕が答えたのを見て、隊長は苦笑いを隠さない。
 その代わり食堂の奥、カウンターになっている向こう側を指差す。
どうやら厨房のようだ。
四人しかいないのでかなり小さい。
冷蔵庫以外は一般家庭の台所とさほど変わらない。

「食事と掃除は当番制で、曜日ごと。滝井は火曜日、夢路と代わってやってくれ」
「夢路……さんですか」
「副隊長なんだけどな、今は多分倉庫の整理か武器のチェックだろう。行くか」

 倉庫、と言っても移動する調査隊。
別に建物がある訳ではなく、動力室の近くに薄暗い部屋を物置にしているだけだった。
非常口を表す緑の光と消火器の赤い光が眩しい。
天井にはパイプが剥き出しで這い回っており、時々遠くからプシュー、と空気の抜ける音が聞こえる。
 隊長はさすがに慣れた様子で歩いて行くが僕は物珍しそうに辺りを見回していた。
これだけのものを四人で動かしているのだ。
動力に異常が起こった時も、きっと専門の人間なんていないだろうからマニュアル片手に直しているのだろうか。
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