short story

□待ち合わせ
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 ある国の、ある街。
そのある公園で青年は少女を見つけた。
 その少女は少女と言うにはいささか年をとりすぎているようにも見えたが、
女性ほどに大人でもないように見えた。
だから青年は少女だと思った。
 その少女は公園の隅の方にあるベンチに腰掛け、
本を読むでも軽食をとるでも、友人と話をするでもなく、何もせず、一人でベンチに腰掛けていた。
 青年は売店で軽食を購入していた。
そして、座れそうなベンチはそこしかなかった。

「ここ、いいですか」
「ああ……」

 少女は青年が話かけると
ちらと青年を確認してからうなずいた。

「いいですよ。まだ来てませんから」
「誰か待っているんですか」
「そう。
待ち合わせの時間はもう過ぎてしまったのに、まだ来ない……」

 何かにうかされたように公園をくまなく眺め、
そして待ち合わせの人物がいないことを確認するとふ、とため息をついた。
 青年は、変わった娘だ、と思った。
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